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真宙 - mahiro -

多様性

電車の中、読書に疲れて本を閉じた。

長い時間の読書は

この上なく疲れるようになった。

一応は持っている

いわゆる老眼鏡を常に使うように

勧められているが、煩わしさと

カッコ悪さを感じ、抵抗し続けている。

リーディンググラスと言われようが同じこと!


伏せていた目を上げると

前に座る人の足が目に飛び込んできた。

ひざ丈のスカートにきちんと揃えた足

ヒール8センチはあろうかという黒のパンプス

まっすぐ伸びた足はとても美しい。

肩にかかる明るい髪はカールされ

きれいに整っている。自然なメイクで

上品にうつり、どこか自信に溢れていた。

憧れをもって見入ったその人は、

よく見ると男性だった。

一見しただけではわからない。

よく見ないとわからない。

彼、彼女は本当にきれいな人だった。


我に返り、おもむろにバッグの中をかき回し

老眼鏡だってなんだっていいじゃない。

と取り出し、本を開き

もう一度だけ彼女を見て

個性的でいいじゃない。

堂々と生きるってすてきだと思う。

多様性の時代なのだから。

と心の中で伝えた。


mahiro

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