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真宙 - mahiro -

心を落ちつかせたい

少し静かに考えたくて


集中しようと試みる。


なんとなく落ちつかず


ざわざわそわそわした気持ちが


湧き上がってくる。



ニュースの映像が頭から離れない。


体の奥深くまで響く空爆音と土ぼこり。


粉々のがれきを前に


ぼう然と立ち尽くす、泣きくずれる。


けが人が運び込まれる病院らしき場所。


とても治療が出来るとは思えない部屋。


多発する紛争に


どこの「いま」なのか


わからなくなる。



次々と上陸する台風に恐怖の声。


100年に一度だという


止むことのない大雨と洪水で


何もかも壊れ流され


水に浸かったヨーロッパの街。



一度火が移ると


なかなか鎮火が難しいアメリカの山火事。


次々とまかれる空からの消火剤と


必死にホースを握る消防士は


広がり続ける炎と懸命に闘っている。


疲労困憊の顔で諦めないというが


終息が見えない。



一刻も早く日常に戻してほしい


と願う国民を守ろうにも


あちこちで政権交代が起こり


国は安定しない。



見知らぬ者と見知らぬ家へ


土足で入り込み、平穏な日常を奪い


それをバイトという感覚。



静かに考えたくても落ちつかず


ざわざわそわそわしてしまう。



明るい光の窓際に座り


ただぼんやりと外を見ている。


もう意思を伝えることの出来ない


認知症の妻。


支え続けた末に倒れ、車椅子にのる夫。


ゆっくりと動かした手を妻の肩にのせ


ほほ笑みながら話しかける後ろ姿に


夫の深い愛情と心からの優しさ


穏やかにゆっくりと流れる時間を見た。



今日見たこと、今日感じたことは


「いま」起こっていること。



もう一度よく考えてみたい。


心を落ちつかせ


少し静かに考えてみたい。




mahiro

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