大切にしたいこと

「暑い」とはもう言いたくない。

８月も終わりに近づくころ

とても残暑とは思えず

気がつくと

「残暑見舞い」は残りわずか

例年より遅れて投函する。

はがきには「暑い」を連発し

侘び寂びもない季節の挨拶に

心がない気がした。

移り変わる季節を

ゆっくりと感じることが

貴重なものになりつつあり

穏やかに流れる時を

無心で過ごすことはなかなか難しい。

それでも

季節も季語も侘び寂びも

日本の美しいことばと情緒は

大切にしたい。

季節を感じ、想いを詠んだ

平安の静かで豊かな時間を

いま感じてみたい。

十五夜

月を見上げ、こぼれる「きれい」

と呟くことば

遠く想いを馳せる時間

すすきと積みあげた団子に

照らす月明かり

過ぎる穏やかな時間

流れる涼やかな風

しばしの静寂に

無心が解かれた美しい虫の音

心が緩むやさしい時間と

移りゆくという美しさ

心をこめる、心を想うということ

ずっと大切にしたい。

mahiro